2010年6月23日水曜日

ボート転覆事故、問われる県や委託業者らの危機管理体制

 春に入学したばかりの中学一年生にとって、友人との交流の場となり、楽しい思い出を残すはずの自然体験学習が、暗転して痛ましい事故の記憶に置き換えられてしまった。
 朝、元気に玄関から出かけるのを見送ったのを最後に、突然変わり果てたわが子と対面しなくてはならなかった中学生のご両親の心痛はいかばかりだろうか。ご両親のことを思うと、本当に何と書いてよいかわからない。
 
 転覆したボートに取り残されて亡くなった女子中学生の告別式が、22日行われた。中学生が所属していた吹奏楽部の演奏に、多くの友人が涙したに違いない。

 報道で事故当時の状況が分かってくるにつれ、大雨・洪水・強風・波浪などの注意報が出される中、なぜ、「県立三ケ日青年の家」所長や校長が、訓練を実施したのだろうかと疑問がわいてくる。

 事故については、運輸安全委員会の船舶事故調査官が現地入りして、所長ら関係者から事情を聞くなどして、原因の究明にあたると言うことだ。
 訓練実施の判断は誰がどのようにしたのかや、転覆した後なぜ生徒の安否確認がおくれたのかなど、危機管理が十分だったかどうか、今後、調査されるのだろう。

 静岡県では、2004年から、県の文化・運動施設などの効率的な運営をめざして、民間業者に委託する「指定管理者」制度を導入し、現在44の施設で、「指定管理者」で運営しているということだ。「県立三ケ日青年の家」も今年、4月から、「小学館集英社プロダクション」(東京都千代田区)に運営を委託していた。

 今回の事故の前にも、他の施設で事故が起きているという。業務を委託する県は指定管理者の危機管理体制は十分か、スタッフの技術はどの程度なのか、チェックする義務があるのではないだろうか。

《参考記事》
「ボート転覆で死亡、西野さんの告別式しめやかに」
(2010年6月23日09時27分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100622-OYT1T00785.htm?from=nwlb

「指定管理者の問われる危機管理 県内の施設で事故相次ぐ」
2010年6月22日中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20100622/CK2010062202000143.html?ref=related

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