2010年7月9日金曜日

研究者、技術者の知を結集して事故防止へ~安全工学シンポジウム

 7月8日、9日の2日間、東京都港区の日本学術会議で安全工学シンポジウム2010が行われた。日本学術会議総合工学委員会が主催し、国内の34学協会が共催・協賛、さまざまな分野の専門家が集まった。

 医療や地震に関する特別講演をはじめとして、リコール問題についてのパネルディスカッションや、事故防止のあり方を考えるオーガナイズドセッションなど、多彩なテーマで論議が展開された。

 オーガナイズドセッション「事故防止のあり方を考える~事故調査のあり方について~」では、踏切事故の遺族やエレベーター事故の遺族が、事故後の体験から、警察の捜査や監督官庁の下の委員会の事故調査では、事故原因の究明が不十分だとして、調査を再発防止に役立てることができる監督官庁から独立した事故調査機関が必要であると訴えた。

 「踏切事故の実態と事故調査」の報告では、高知県佐川町白倉踏切の事故を取り上げた。白倉踏切の問題点、警察の事故についての説明と鉄道事業者の事故についての説明の食い違い、電動車いすの利用者など交通弱者と言われる踏切通行者の安全をどう確保するのかといったことが話された。
 (白倉踏切については、当ブログ記事参照http://tomosibi.blogspot.com/2010/04/blog-post_26.html

 2006年、戸が開いたまま上昇を始めたエレベーターに挟まれて亡くなった市川大輔君の母親の市川さんは、「事故は異なっても、背景に複合的な要因があるという点は同じで、徹底した事故調査の必要性を訴えていきたい」と話す。

 事故調査は事故の被害者・遺族にとって、被害者支援の一つといえる。
大切な人を奪った事故について正確に説明をうけることは、私たちにとって、肉親の突然の死を受け入れていくために必要なことだ。なぜ、死ななくてはならなかったのかわからないまま、大切な人の死を受け入れることはできない。

 事故調査機関は、私たち遺族のさまざまな疑問に真摯に向き合って答える機関がであってほしい。被害者の疑問に答えられる調査をすることは、同じようなもしくはもっと大きな事故を防ぎ、犠牲者を出さないため、安全対策を検討する上で必要なことのはず。

 事故をひとつひとつていねいに調べて、事故の再発防止策に役立ててほしい。

《参考ニュース》
“事故調査 独立機関設置を”   7月8日 12時2分    http://www3.nhk.or.jp/news/

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