2011年1月25日火曜日

駅ホームからの転落事故を防げ

 今月16日、東京都豊島区のJR山手線目白駅で、目の不自由な男性が、誤ってホームから転落、駅に入ってきた電車に撥ねられて亡くなった。亡くなった男性は、病気で視力を失い、目が全く見えなかったという。ホームには、点字ブロックはあるものの、転落を防ぐ柵はなかった。

 24日、視覚障害者団体の代表が、JR東日本を訪れて、早急な安全対策をとるよう要望した。具体的には、電車とホームの間を仕切る「ホームドア」の設置や、駅員をホームに必ず配置して安全確認をするなどを要望した。
 これに対し、JR東日本は「安全対策は重要であり、できるだけ早く進めたい」と答えたという。

 全日本視覚障害者協議会の調査によると、目の不自由な人100人にアンケートをとったところ、そのうちの半数がホームから転落したことがあり、全く目が見えない人では3人に2人が転落を経験しているということだ。
 
 また、報道によると、25日、大畠国土交通相はこの要望を受けて、転落事故を防ぐ対策として有効とされるホームドアがいつごろまでに設置できるのか、鉄道会社に聞き取り調査をしたうえで、国としてさらなる支援ができるかどうか検討する考えをしめした。

 今月の26日で、新大久保駅で転落した男性を救助しようとした韓国人の男性と日本人の男性が転落した男性とともに列車に撥ねられて亡くなった事故から、10年になる。事故の後、ホームの下に待避スペースをつくったり、転落検知マットや非常停止ボタンが設置されるなど、鉄道各社は対策を進めている。

 しかし、駅のホームでは、転落する事故が後を絶たない。ホームドアの設置は、去年3月末現在で、全国の駅の5%に満たない449駅にとどまっているという。ホームの端を携帯電話をしながら歩くなど、危険な行為をしないよう利用者に注意をうながすことも大事だろうけれど、乗降客が多いのにホーム自体が狭い駅も多いと思う。
 山手線や京浜東北線の駅では、列車の編成が長くホームに進入してくる際の速度も、50~60㎞とかなり速いのではないかと思う。このように早い列車と人が接触したら危険なのに、ホームの端は狭く、転落を防ぐ柵もなく、傾斜もあったりして危険だと感じる駅もある。

 なぜホームドアなどの設置が進まないのか、早急に調査し、ホームドア等の設置を進め、痛ましい事故をふせぐようにしてほしい。
 当面、ホームドアが設置されるまでの間、目の不自由な人や障害を持った方が駅に入る際には、駅員が付き添うとか、目の不自由な方などの利用の多い駅のホームには駅員を配置するといった対策は可能なのではないかと思う。

《参考》
「ホームドアの設置状況について」(1月25日大臣会見参考資料)国土交通省鉄道局
http://www.mlit.go.jp/common/000133960.pdf

《参考記事》
「ホーム転落 視覚障害者が要望 」1月24日 19時10分  NHK
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110124/k10013596721000.html
「ホームドア 設置見通し調査へ」1月25日 13時1分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110125/t10013609611000.html
「ホーム人身事故、増える酔客絡み 注意呼びかけにも限界」2011年1月9日5時2分朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0108/TKY201101080225.html

2011年1月21日金曜日

冬場に多い服が燃える事故~大半がお年寄り

 経済産業省所管の独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の調査によると、昨年度までに、コンロやストーブの火が服に燃え移る事故で、5年間に39人が亡くなり、その大半が70歳以上のお年寄りだったことがわかった。

 NITEによると、2005年から2009年に、コンロの火が服の袖に燃え移ったり、ストーブの熱で、服に火がついたりした事故は、86件発生している。そのうち、39人が死亡、41人が重軽傷を負ったという。このうち、年齢が判明した死者37人のうち31人(約84%)が70歳以上だった。

 お年寄りが多いのは、服に火が燃え移ったり、発火するほど加熱したりしているのに、気付きにくいことが原因ではないかといわれている。
 又、NITEによると、火がつきやすいのは、毛足が長い服やゆったりと垂れ下がるような形の服だという。NITEはこうした服を着てコンロやストーブなどの熱源に近づくときは、「防炎」の表示のあるエプロンや作業着を着た方が良いと呼び掛けている。

 最近のポリエステルやナイロンなどの化学繊維の衣服は燃えやすいのではないかと思う。また、毛や綿などでも、袖がゆったりと長かったりすると、火がつきやすいから、料理などするときは注意がいる。

《参考》
「着衣着火事故の防止について(注意喚起)」(独)製品評価技術基盤機構 平成23年1月20日
http://www.nite.go.jp/jiko/press/prs110120.pdf
《参考記事》
「服に引火、5年で39人死亡 冬場多発、大半70歳以上」2011年1月21日13時31分 (茂木克信)
http://www.asahi.com/national/update/0121/TKY201101210161.html?ref=any

あいつぐ新幹線トラブル、システム改善へ

 報道によると、JR東日本は、17日、5つの新幹線すべてが一時運休した原因は、運行担当部門がシステム表示の仕組みを知らされておらず、不具合情報と誤解したためだったと発表した。

 JR東の宮下常務は担当者やシステム自体には問題はなく、「人為的ミスだった」として謝罪、表示の仕方を変えるという。

 17日のトラブルは、東北、上越、長野、山形、秋田の各新幹線の運行を一括して管理する「COSMOS(コスモス)」というシステムで起きた。新幹線運行本部のダイヤ管理用モニター22台すべてで各列車の駅に到着する予定を示す線が消えたため、運行指令はシステムの不具合が起きたと考え、全列車を止めた。
 JR東によれば、この日朝、雪のため、福島県内の東北新幹線のポイントが故障した。そのため、24本の列車のダイヤを変更することになり、修正箇所がシステム上限の600件を超えて線が一時的に消えた。
 ダイヤの変更をすると、到着予定時刻の変更箇所も表示されるが、上限の600件を超えると、到着予定時刻を示す線が消える。当時は入力作業中で、上限を超えたり超えなかったりしていたため、データ更新のたびに線が消えたり表示されたりしていたことを担当者は不具合と受け取って、全列車を止めたという。

 システム部門はこうした表示の仕組みや修正上限数を把握していたが、運行指令には知らされていなかったことが、運行トラブルをまねいたとされている。
 なぜ、運行担当者にこの仕組みを知らせなかったかについて、JR東の宮下常務は
「現場に知らせると、ダイヤ管理に集中できなくなると判断した。余裕のあるシステムを設計したつもりだった」と説明しているという。

 このシステムの運用が始まった1995年から、1日の列車本数は約230本から320本と約4割増え、2008年にはコスモスのシステムが更新された。しかし、処理能力はダイヤ導入当時のままで、修正の処理能力に限界のあることを、運行本部の指令員は知らされていなかったそうだ。

 JR東の宮下常務は、600件を超えた件数も処理できるようプログラムを改善するとしている。ダイヤの本数が増えているにもかかわらず、システムや設備を見直さなかったことは改善されるべきだと思う。しかし、それとともに重要なのは、システムなどの情報を、新幹線の運行に携わる人々皆で理解し共有する仕組みを検討することではないだろうか。

 15日の架線が切れるトラブルなど、たび重なる新幹線のトラブルの根本的な原因は、どこにあるのか、JR東は十分検討して、再発防止につとめてほしい。
 新幹線は安全だと信頼して、利用する私たち乗客の期待に答えていってほしいと思う。

《追記》1月21日
 報道によると、今回の運休の問題で、「システムに不具合が発生した」と誤解した運行担当の指令部門が所属する新幹線運行本部には、システムの開発者もいたことがわかったという。
 
 しかし、システムの仕組みを把握している社員が同じフロアにいるにもかかわらず、トラブル発生時には、システム部門の担当者が開発者と連絡を取らず、指令部門とも十分な協議をしていなかったことがわかった。
 同本部に詳しいJR東社員によれば「表示が適正だと知っていれば列車を止めない」と指摘しているという。
 同本部の元幹部は、「部門間の連携を密にしなければ同じトラブルが繰り返される」と指摘している。

《参考記事》
「新幹線トラブル、運行担当者の誤解原因 JR東が謝罪」2011年1月18日(朝日新聞、宮嶋加菜子、小林誠一)
http://www.asahi.com/travel/rail/news/TKY201101180470.html

《参考記事》1月21日追加
「新幹線運休、同じフロアにシステム開発者 連携できず」2011年1月20日8時47分(小林誠一、宮嶋加菜子)
http://www.asahi.com/travel/news/TKY201101190517.html

2011年1月16日日曜日

既設エレベーターの事故を防ぐ対策を早急に

 報道によると、1月7日、シンドラーエレベーター社製エレベーターの事故で息子さんを亡くした市川さんが、国土交通省を訪れ、大臣と面会、監督官庁から独立した事故調査機関の設置や、既設のエレベーター約70万基の安全対策を要望した。

 エレベーター事故については、昨年3月、前原誠司前国土交通大臣が、運輸安全委員会の調査対象に加え、体制を準備していく方針をしめしていたが、市川さんによると、今回、馬渕国交相(1月7日当時)は、
「現在、事故調査のあり方について消費者庁で議論が進められており、この結果を踏まえて対応したい」などと回答したという。

 また、市川さんの息子さんが亡くなった事故をうけ、新しく設置されるエレベーターについては、二重ブレーキをとりつけることが義務付けられたが、既設のエレベーター約70万基については、対象外となっていた。この点について、市川さんらは、既設のエレベーターの事故も相次いでいることから、安全対策を要望していた。
 これについて、国交相は、「今月中に国交省内で専門部会を立ち上げ、安全対策を協議する」と述べたという。
 エレベーター事故については、昨年12月、国交省は、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会のもとに置かれていた「昇降機等事故対策委員会」を廃止し、「昇降機等事故調査部会」として直接、社会資本整備審議会に置くことを決めている。

 今回の大臣の回答は、エレベーターの事故調査をどのように行うのかについて、国交省だけでなく消費者庁など、政府全体で検討していくということだと思うが、すでに、生活の中で重要な移動手段として、日常的に使われているエレベーターについては、早急に安全対策を講じてほしいと思う。
《参考》
「昇降機等事故調査部会」の設置については
http://www.mlit.go.jp/common/000132081.pdf

《参考記事》
「『独立した事故調査機関を』シンドラーエレベーター事故の遺族が馬淵国交相と面会」2011.1.7 17:17
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/110107/dst1101071718005-n1.htm

2011年1月15日土曜日

トークセッション~被害者視点で考える、安全で安心できる社会

 JR福知山線脱線事故の負傷者などでつくる「負傷者と家族等の会」は、1月29日(土)午後、兵庫県川西市で、被害者支援や事故調査のあり方に関するトークセッションを開催する。

 トークセッションには、被害者への支援を行っているリカバリーサポートセンターや、日航機墜落事故で次男を亡くした「8.12連絡会」事務局長の美谷島邦子さん、明石歩道橋事故で次男を亡くした下村誠治さん、エレベーター事故で息子を亡くした市川正子さんら遺族も招き、被害者支援や事故調査のあり方などについて考える。又、ノンフィクション作家の柳田邦男さんも出席する。
 
 安全・安心な社会をつくるために、どのように、事故や事件を直接知る被害者の意見をとりいれていくのか、どのような事故調査が必要なのかなどといった内容が話される。さまざまな事故の被害者と会場の参加者とで、活発な話合いがもたれる予定。

問い合わせは、
「空色の会:JR福知山線事故・負傷者と家族等の会」
MAIL fukakai0425@gmail.com 

《参考記事》
「日航機事故遺族招き、29日に川西でシンポ 福知山線脱線事故負傷者ら」

(2011年1月11日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20110111-OYO1T00454.htm?from=newslist

2011年1月14日金曜日

入浴剤などの誤飲事故~もとめられる対策

 報道によると、飲み物や食べ物とまぎらわしい入浴剤やせっけんが、広く販売され、誤って飲んだり食べたりする事故やトラブルが起きていることから、消費者庁はメーカーなどに対応策を検討するよう、要請するという。

 愛知県で、今月はじめ、4歳の男児が自宅の居間にあった入浴剤をお茶と間違えて飲み、呼吸困難をおこし、一時意識を失うという事故があった。男児は搬送先の病院で胃の洗浄をして、意識がもどったという。

 報道された写真を見ると、入浴剤は、清涼飲料水とよく似た透明のペットボトルに入れられており、赤茶色をして、お茶とよく似ている。製造した大分県の業者によると、原料は硫黄や石灰で、一月に3千から4千本出荷。業者は、誤飲にたいする対策として、容器を中身が見えない白色にし、注意表示を増やすとしている。
 
 国民生活センターによると、入浴剤やせっけんなどの商品の誤飲・誤食は2006年度以降、12件報告されており、これらの事故の対策がもとめられていた。

 このような状況から、消費者庁は、幼い子供や、判断能力の低下したお年寄りが誤って飲食するといった事故を防ぐには、容器の表示だけでは難しいとして、メーカーや業界団体に対して、事故を防ぐための対策を検討するよう、要請することにしたもの。

 消費者の注意を引こうとしてか、あめのような形をしたせっけんや、お茶と間違えるようなラベルや色のついた入浴剤があるのは、誤飲や誤食のもとになる。このような入浴剤やせっけんなどは、家庭でも注意することが必要だろう。しかし、何よりも大事なのは、製造する側が間違えやすいものをつくるのではなく、消費者にわかりやすい表示や容器などにすることだと思う。

《参考記事》
「ペットボトル入浴剤を誤飲 4歳児、一時意識失う 愛知」 2011年1月14日15時2分 (朝日新聞、茂木克信)
http://www.asahi.com/national/update/0114/TKY201101140226.html

「入浴剤など誤飲相次ぐ 注意を」 1月14日 4時26分  NHKニュース
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110114/t10013390801000.html

2011年1月10日月曜日

四日市市羽津町の踏切事故

 昨年12月30日、三重県四日市市羽津町の踏切前で、電車の通過を待っていた男性3人に、乗用車が追突し、踏切内に押し出された男性3人のうち2人が、踏切に入ってきた急行に撥ねられて死亡するといういたましい事故が起きた。

 事故のあった踏切は、近鉄名古屋線の踏切で、男性3人は自転車から降りて待っていたという。報道によると、乗用車を運転していた男性も頭にけがをして入院していたが、よく31日退院、四日市北署は、この男性(46歳)を、自動車運転過失致死傷と過失往来危険の疑いで、逮捕した。

 四日市北署によると、男性は「車を運転していたのは覚えているが、事故の直前から記憶がない」と話しているという。事故現場にはブレーキ痕はなく、男性が前方を見ていなかったのではないかと見られている。

 報道によると、踏切の幅は幅6m、長さ8m、線路は複線である。報道された写真を見ると、歩行者と車両をわける線などは引かれていないように見える。
 歩行者や自転車に乗った通行者が通るところ(歩道)が、色分けするなどして明確にされていないと、狭い踏切を車両と歩行者や自転車がいっせいに入り乱れて渡ることになり、危険だと思う。
 この事故も、踏切の遮断機の前に、自転車の男性3人が並んで待っていたように報道されているのを見ると、歩道と車道を分けていなかったように思われる。

 自転車の男性らが並んでいるtころへ、前方を見ていなかったと思われる車両がブレーキもかけずに追突すれば、遮断機の前の男性たちは、遮断機を押して踏切内に押し出されてしまう。
 そして、まじめに仕事をして仕送りをしていたという中国人の若者や、医師になってアフリカで医療活動をしたいと言っていたという研修医の男性が亡くなった。
  
 乗用車を運転していた歯科医師の男性が、どのような事情で前方を見ていなかったのか、仕事の疲れから居眠りをしていたのかどうか、報道からはわからない。
 しかし、踏切に歩道と車道が区別されていたら、男性たちは、遮断機の前に横に並んでいなかったかもしれないなどと思ってしまう。

 多くの踏切には、自動車やトラックのほかに、自転車で通学や通勤に通う人、車いすに乗った人、ベビーカーを押しながら買い物に行こうとする人、足の運びが遅くなってきたお年寄りなど、
さまざまな人が行きかう。私たち踏切周辺の住民が踏切を安心して渡れるよう、鉄道事業者や道路管理者は、踏切の安全を確保する義務があると思う。
 事故があった踏切では、再び事故が起きないよう、早急に対策を検討してほしい。

最後になりましたが、亡くなられたお二人のご冥福を心よりお祈りいたします。

《参考記事》
「踏切待ちの自転車に車追突 電車にはねられ2人死亡」
2010/12/30 22:50 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010123001000239.html

「四日市の踏切事故 追突の歯科医師逮捕 『事故時の記憶ない』」
http://www.isenp.co.jp/news/20110101/news05.htm