2014年5月31日土曜日

お年寄りが取り残された踏切事故~阪急宝塚線北ノ口踏切

 今年4月26日、阪急宝塚線服部天神駅近くの北ノ口踏切に行った。
報道によると、2012年10月22日午後2時10分ころ、大阪府豊中市服部元町にある、阪急宝塚線北ノ口踏切で、73歳の女性が、雲雀丘花屋敷発梅田行き普通電車(8両)に撥ねられて、亡くなった。

 北ノ口踏切は、曽根駅と服部天神駅の間にあり、曽根駅から来ると、線路が右へ大きくカーブした先にある。第1種踏切で、警報機・遮断機が設置されている。しかし、車両通行止めで車両が通行しないからか、障害物検知装置はない。また、非常ボタンも設置されていない。幅は2.2m、長さ8.6mで、歩行者専用である。

 事業者の事故の届出によると、事故当時、電車が時速55kmで北ノ口踏切に差し掛かった際、踏切道手前82mで運転士が女性を発見、非常停止の措置を取ったが、間に合わず、女性と接触、踏切を約28m過ぎて停止したとある。
阪急宝塚線北ノ口踏切   2014年4月26日撮影
報道によると、亡くなった女性は呼吸器系の病気のため、外出時には酸素ボンベを載せたキャスター付きの台車を引いていたそうで、この日も台車を引いて踏切を渡っていたようだ。渡っている途中で警報機が鳴ってしまい、踏切内に取り残されたらしい。台車の車輪がレールの溝に入ってしまって動けなくなり、踏切内から出られなかったのかもしれない。

阪急宝塚線北ノ口踏切。線路の外側の方が内側よりも高い。
事故から1年半経つが、踏切道の改善はされたのだろうか?
                  2014年4月26日撮影
 
 北ノ口踏切から普通電車の来た方、曽根駅方面を見る。
 左へ大きくカーブしている。     2014年4月26日撮影
北ノ口踏切は、カーブの終わるあたりにあり、線路の外側は電車の脱線を防ぐため、内側に比べて高くなっている。そのため、踏切道の路面が波を打つようだ。 ここのカーブが半径何mなのか、線路わきに表示が見当たらなかったが、上の写真の注意書きが見つかった。黄色い張り紙には、「注意 この区間見通し悪し 早期待避」とあった。
 
 
 お年寄りが酸素ボンベを引きながら歩いたり、手押し車を押しながら、凹凸があるところを渡るのは、歩きにくいと思う。車輪ががたがたとして進みにくいと思う。
 
 ここは、運転士から見ても危険だ。カーブを曲がったと思ったらすぐに踏切があり、運転士が踏切内で人が取り残されているのを発見しても、すぐに電車は止まれない。
 電車が踏切の手前で安全に止まれるように、障害物検知装置を設置し、踏切内に取り残された人を検知して電車が自動的に止まれるようにすべきだと思う。多くの事業者は、障害物検知装置は車両を検知するための装置で、人を検知する設定をしていないという。
 しかし、踏切を通行するのは、車両ばかりではない。北ノ口踏切のような、住民に必要な生活道路では、お年寄りや子どもを連れた人、児童や生徒も通行する。すべての通行者が踏切内で、取り残された際に、通行者を検知して、電車が止まれるようにすべきではないのか。
 踏切内に取り残された人を発見したときに、運転士に知らせる非常ボタンも設置すべきだと思う。踏切に設置されていれば、取り残されたお年寄り本人だけでなく、踏切の近くにいる通行者が、非常ボタンを押して、電車を踏切の手前で止めることができるのではないか。
 事故が起きて尊い命が奪われる前に、ひとつひとつの踏切を点検して、必要な装置を設置したり、歩道の凹凸をなくすなど、早急にできる対策に取り組んでほしいと思う。
 
 
 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福を祈ります。
 
《参考記事》
「73歳女性はねられ死亡 阪急宝塚線」毎日新聞2012年10月22日

2014年5月6日火曜日

電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切

 4月26日、大阪府豊中市の阪急神戸線神崎川~園田の間にある、旧庄本(きゅうしょうもと)踏切に行った。
 ここでは、2012年11月5日、電動車いすに乗っていた女性が特急電車に撥ねられて亡くなった。事業者の報告によると、事故当時、特急電車は、踏切を時速110kmで通過している。
 報道によると、旧庄本踏切で、電動車いすのそばに女性が倒れているという110通報があった。豊中南署の調べでは、女性(79歳)は、歯の治療を終えて帰宅する途中だったようだ。

 旧庄本踏切には、遮断機、警報機があり、非常ボタンと障害物検知器が設置されている。踏切の幅は約2.5m、長さ約8mくらいだろうか。
 事業者が運輸局に提出した事故報告の「概況」欄には、「担当運転士は、通過中に電動カートに乗車していた当該女性は確認していない」と記入されている。特急電車の運転士は、女性に気付かずに踏切を高速で通過していたらしい。
 

阪急神戸線旧庄本踏切 2014年4月26日撮影
旧庄本踏切     踏切道が線路に対してななめに交差している。
ななめに黄色線が引いてあるが、歩道といえない。2014年4月26日撮影
踏切道は、上の写真を見てもわかるように、線路にななめに交差している。その上に、歩行者が通る踏切道の端は、ぎざぎざで歩道といえない。歩道を確保してほしいと思う。
 また、線路は踏切の前後の道に比べて高いため、電動車いすで通行しようとすると、走りにくいのではないだろうか。

 踏切が開くのを待っていた女性が、何らかの理由で、踏切内に進入してしまい、梅田行きの特急電車(8両)の7両目側面に接触したが、なぜ進入したのかはわかっていない。
 この事故は、製品事故として、メーカーから連絡が入り、(独)製品評価技術基盤機構(以下NITEと略)が、事故の際に女性が乗っていた電動車いすの調査を行っている。
 このNITEの事故情報の「事故原因」欄には、
「当該製品が踏切内に進入した原因は不明であり事故原因の特定には至らなかったが、当該製品は、前進・後進等の捜査に対して正常に反応し、ブレーキ機構にも異常は認められてなかったことから、製品に起因しない事故と推定される」とある。
 なお、このNITEの情報には、製品が原因とされる事故ではないため、メーカー名の記載はない。また、亡くなった方の個人情報の記載もない。そのため、事故発生日と事故発生地の情報から、この事故情報が、旧庄本踏切の事故と推測した。

 なぜ、事故が起きたのか、十分調査されないまま、危険な踏切が放置されていないだろうか。
この旧庄本踏切に立ってみると、そんな思いが大きく膨らんでくる。

 最後になりましたが、亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。

《参考記事》
「踏切事故 車椅子の女性はねられ死亡 阪急神戸線」2012年11月5日(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121105k0000e040167000c.html