2015年4月21日火曜日

「私たちのJR福知山線脱線事故-事故から10年展」~東京・駒込で

 今月25日で、2005年に起きた福知山線脱線事故から10年がたつ。
 兵庫県尼崎市のJR福知山線の尼崎駅手前の急カーブで、事故は起きた。快速電車が制限時速70kmの急カーブを時速116kmで進入し、曲がりきれずに脱線転覆、線路脇にある9階建てのマンションに衝突し、乗客106人と運転士が死亡、526人が負傷した。
 2007年6月、国交省の航空・鉄道事故調査委員会は、運転士のブレーキ操作が遅れたことが、脱線の原因とする事故調査報告書を公表した。

 事故は、朝の満員電車で起きた。もし、東京で、朝の通勤・通学の時間帯で起きたらと、不安に駆られて毎日、乗車する人も少なくないだろうと思う。
 私自身も、乗車している電車がスピードを出してくると、気分がよくない。スピード重視の運行で本当に安全なのかと疑問を持つ。しかし、私は他に移動手段がないので、しかたなく鉄道を利用している。
 報道によると、横浜の女性が、脱線事故で負傷した男性や女性の書いた絵や模型を展示することを企画、今月22日から26日まで駒込で企画展を開くという。
 女性は、フリーライターの木村奈緒さんで、昨年、テレビのドキュメンタリー番組で2両目で負傷した小椋聡さんが事故現場の絵画や模型を製作していることを知り、企画を思い立った。
 東京で、小椋さんらの絵を見ることができれば、福知山線脱線事故を考える機会になるのではと思う。

 場所は、豊島区駒込のKOMAGOME1-14cas。午前11時から午後8時まで。入場無料。22日は午後6時半から小椋さんらのトークイベントも開催される。トークイベントは要予約。
詳しくは、「私たちのJR福知山線脱線事故-事故から10年展」http://fukuchiyama10years.tumblr.com/
≪参考記事≫
「福知山線の教訓 東京も忘れずに 横浜の女性が企画展」東京新聞2015年4月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015040802000118.html

2015年4月1日水曜日

電動車いすの事故~もとめられる安全対策

 ハンドルのついた電動車いすの事故が相次いでいる。報道によると、過去3年間に起きた事故13件の重傷・死亡事故のうち、10件までが同じメーカーの製品に集中していることが、消費者庁の消費者安全委員会の調査でわかった。事故の頻度は、他社の製品の10倍以上で、製品の構造が原因の一つとみられることから、消費者安全委員会(消費者事故調)は、メーカーに改善を促し、メーカーもアクセルレバーのつけ方などを検討するという。

 重大な事故が相次いでいるのは、松山市にある農業機械メーカー「アテックス」が製造する電動車いすで、他社のブランドで販売されているものも含め、これまでに全国で約8万台が出荷されているという。
 身の回りの事故の原因を調べる消費者事故調が、昨年11月からハンドル型電動車いすの事故を調査した結果、平成24年度以降の2年8か月の間に、消費者庁に報告された13件の重傷・死亡事故のうち、8割にあたる10件までが、この会社の製品で起きていることがわかった。このうち、6人の利用者が亡くなっていることがわかったという。
 事故は、お年寄りが電動車いすに乗っていて、道路わきに転落したり、踏切で列車にはねられたりして起きている。
 消費者事故調は、その原因の一つとして、この会社の製品のアクセルレバーが、他社のものと異なり、ハンドルよりも4センチ高い位置についていることがあると見ている。ハンドル操作がしやすい反面、お年寄りが具合が悪くなってうなだれたり、意図せずにレバーに触ってしまい、レバーを押して前に進んでしまう恐れがあるという。
 このため、消費者事故調はメーカーに対して改善をうながした。メーカーは、アクセルレバーのつけ方などについて改善を検討すると消費者事故調に伝えた。

 これまでに国内では、ハンドル型電動車いすが約47万台販売されているが、このうち、このメーカーの製品は8万台あまり。重大な事故は他社の製品全体の10倍以上の高い確率で起きているという。
 
 平成24年10月に、兵庫県高砂市でおきた踏切事故では、電動車いすに乗っていた男性(83歳)が、貨物列車にはねられて亡くなった。
 
 この踏切の近くに住む男性が、この事故を目撃していた。NHKがこの男性を取材したところによると、電動車いすに乗っていた男性は、遮断機が下りたため、踏切の手前でとまった。その後、前のめりに体が倒れた後、車いすが動き出し、降りていた遮断機を押し込むかたちで、踏切の中に入ったという。目撃していた男性は、非常ボタンを押そうとしたが、間に合わなかった。この男性によると、「意識が無くなったように前かがみにたおれた。倒れた体が電動車いすのスイッチに触れたのだと思う。」と話しているそうだ。
 また、亡くなった男性の家族によると、男性は糖尿病を患っていたため、血糖値をさげる薬を飲んでいた。事故のあった早朝は、前日夕方5時の夕食から食事をしておらず、血糖値が下がったことで、意識を失ったのではないかと話しているそうだ。
 亡くなった男性の妻は、「車いすで前かがみになったのは、血糖値が下がったからだと思う。夫は、電動車いすによって、行動範囲が広がって喜んでいた。高齢者が楽しく生活に利用できるよう、より安全な製品にしてほしい」と語っているという。

 電動車いすは、30年ほど前から販売が始まった。電動車いすは、主に高齢者が利用するハンドル型と、車いすと似た形で、主に体に障害のある人が利用するジョイスティック型と、2種類ある。
 バッテリーを充電してモーターで走行し、時速6kmまで出すことができる。運転には免許は必要なく、歩行者扱いだ。足腰の弱ってきたお年寄りには行動範囲が広がると喜ばれ、利用者が増えてきている。価格は20万から30万円で、介護保険を利用してレンタルすることもできる。
 消費者事故調によると、ほとんどの電動車いすは、アクセルレバーがハンドルの上の面よりも下についているが、改善を促した電動車いすは、ハンドルよりも4cmほど上にアクセルレバーがついていたという。
 
 昨年、国際福祉機器展で、あるメーカーの電動車いすに試乗した。アクセルレバーが軽く動き使いやすいと思う半面、何かの拍子で押してしまったり、具合が悪くなって倒れこんだりしたら、レバーを押してしまい、前進してしまうのではないかと思った。
 道路交通法では、歩行者扱いの電動車いすは、免許が必要ない。高齢化が急速に進む中、お年寄りの行動範囲が広がるということで、普及が進んでいるという。しかし、高齢者が乗るものだから、事故が起きてもしかたないというのではなく、事故を防ぐ改善も必要となっているような気がする。
 高齢者も自分のすむ地域で、自立して生活することが求められている。ならば、なおさらのこと、安全に暮らせるよう、さまざまな改善や安全対策が求められていると思う。 

≪追記≫2015年4月4日
株式会社アテックスは、ホームページで、NHKの報道に対して、抗議文を掲載した。
NHKの報道は消費者庁の正式見解ではなく、NHKの独自取材による報道で、消費者庁から改善指示等も受けていないとしている。
「NHK に対する抗議文」2015年4月3日付
http://www.atexnet.co.jp/pdf/20150403.pdf
「NHK報道(電動車いす)による弊社見解」2015年4月2日付
http://www.atexnet.co.jp/pdf/kenkai.pdf

≪参考記事≫
「電動車いす事故 同メーカーに集中」2015年3月31日NHKニュース 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150331/k10010034301000.html

≪参考≫拙ブログでは、消費者事故調の調査について、以下でとりあげた。
●「ハンドル型電動車いすの事故調査を決定~消費者安全委員会」2014年11月25日
  http://tomosibi.blogspot.jp/2014/11/blog-post_25.html

 また、電動車いすの事故については、高知県佐川町白倉踏切の事故や、阪急神戸線旧庄本踏切の事故などについて書いた。これらの事故の電動車いすは、製造メーカーがわからないものもある。
●「踏切事故の現場をたずねて~高知県佐川町白倉踏切」2010年4月26日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2010/04/blog-post_26.html
●「電動車いすの女性が亡くなった事故~阪急神戸線旧庄本踏切」2014年5月6日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html
●「電動車いすのお年寄りが亡くなった事故~大阪府高石市南海本線羽衣7号踏切」2014年7月22日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/07/7.html
●「車いすで踏切を渡るこわさ」2014年10月20日
 http://tomosibi.blogspot.jp/2014/10/blog-post_20.html